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『症例②:60代の正常眼圧緑内障の男性』
当院だけでなく他府県の総合病院も含め、複数の眼科で中心視野障害が確認されている重症の正常眼圧緑内障と診断された方である。各種点眼フルメディケーションにて、眼圧を12mmHg以下に低下させる事で、約6年の加療により矯正視力の改善をみている。RV=(0.4→0.6p)LV=(0.2→0.7)。OCTGCCのフォローではNFLDの悪化は認めていない(図5a.b)。
MRIで脳の異常は認めていない。そしてSGL照射後に必ず視界が明るくなると言う自覚症状の改善を観る方である。
症例②では、SGL後にオクトパス静的視野検査にて、一時的な急性視野改善が左右共に確認された(図5c.d.e.f)。SGL後の急性視野改善は何度施行しても明らかであった。
症例②のSGL前後のRETevalによるERG検査結果は、フリッカーERGの潜時の短縮と振幅増大が観察された(図5g.h)。症例①②共に、生データの振幅の増大が顕著であった(図4c.d)(図5g.h)。
症例②では、SGL照射後に縮瞳傾向(OCTで確認)が観られた(図5i)。振幅のみが増大する症例①では、SGL後に眠気が発生した。潜時が短縮する症例②では、眠気は少なかった。

(図5a.b)症例②OCTGCCのフォロー左右とも約2年の経過でNFLDの悪化を認めていない。

(図5c.d.e.f)症例②のSGL前後短時間のオクトパス静的視野検査の変化。
(c):右眼SGL 前MD値15.9→(d):SGL後MD値11.6 照射後短時間で顕著な改善を観る。
(e):左眼SGL 前MD値12.0→(f):SGL後MD値10.1照射後短時間で顕著な改善を観る。

(図5g.h)症例②のSGL前後の短時間でのRETevalによる変化 振幅の増大と潜時の短縮を観る
(g):SGL施行前の振幅 右眼12.3μV(14.3μV) 左眼9.8μV(10.9μV)
(h):SGL施行前の振幅 右眼12.9μV(17.8μV) 左眼12.8μV(15.7μV)
(g):SGL施行前の潜時 右眼35.9ms(30.9ms) 左眼37.0ms(32.8ms)
(h):SGL施行前の潜時 右眼34.6ms↓(31.1ms) 左眼34.7ms↓(30.8ms↓)
( )は生データ。

(図5i)症例②のSGL前後のOCTGCC画像と瞳孔。施行後に縮瞳傾向が観られた。